日本酒は、およそ2000年前から存在し、聖なる液体として神に捧げたことを起源とし、日本酒造りの職人が代々にわたり品質を高めるとともに、各地の気候風土に適合する酒質に仕上げられ、地域の食文化を代表する地酒としても発展を遂げてきました。
生産量、消費量は、太平洋戦争後の高度成長期に一気に伸張。昭和 50年頃にピークを迎えます。しかしその後、ビール、ワイン、 焼酎、ウイスキーなどの他酒類が台頭する中で、「古い酒」「酔っ払いの酒」「親父臭い酒」などとイメージの悪い酒類と捉えられるようになり、 減少に転じることになります。
しかし平成に入ってから、蔵元の世代交代などを背景に、新しいコンセプトの日本酒造りが行われるようになります。純米酒や大吟醸酒といった特定名称酒に注目が集まるようになったり、低アルコール、スパークリングといったこれまでにない商品が開発される中、現代のニーズに合った嗜好品として再び注目されるようになります。
但し、一般消費者は日本酒に詳しい訳ではありません。「日本酒を飲みたい、楽しみたい」と思っても、どんな日本酒を頼み、どのようにして飲めばよいのかわかりません。
よって、必要とされるのが、日本酒提供のプロフェッショナルである「唎酒師」なのです。

 

外国人が日本酒に注目。外国人の望む日本酒を提供することが求められています。

寿司をはじめとした日本料理(和食)が世界中で注目され始め、これらとともに日本酒を楽しむことが人気となる中、日本酒の輸出金額は 徐々に伸び始め、2006(平成18)年から2017(平成29)年までの11年間で、輸出量が約2倍、輸出金額が約3倍に伸張しました。

現在、輸出相手国の約30%は米国ですが、香港、韓国、中国、台湾などのアジア主要都市における日本酒需要が高まってきたことが近年の傾向といえるでしょう。
なお、財務省が発表した2018(平成30)年の酒類輸出通関実績では、日本酒の輸出数量は前年比9.6%増の25,974㎘(約14万2720石。国内における日本酒出荷数量の約5.1%にあたる)、輸出金額は19%増の約222億円であり、初めて200億円を突破したことがわかりました。
訪日外国人観光客が増加する中、外国人が望む日本酒提供を行える唎酒師が求められています。なお、通訳などの仕事に就く唎酒師も増えてきております。

 

日本酒を活用し、地域活性を図る「唎酒師」が増加中。

国内では、日本酒の魅力で観光客を誘致しようという試みが盛んになっています。2012(平成 24)年に開催された佐賀県鹿島市「鹿島酒蔵ツーリズム」では、人口約3万人の鹿島市に、2日間で約3万人もの観光客が、日本酒(酒蔵)を目当てに訪れています(翌年は約5万人、2017年は約8万人集客したと発表されています)。
鹿島市には、ロンドンで開催されているインターナショナル・ワイン・チャレンジSAKE部門でチャンピオンとなった富久千代酒造(銘柄:鍋島)を擁しており、人気の高い日本酒を飲むことが観光の目的になることを証明。この成功例を元に、全国各地でも同様の取り組みが行われ始めています。
今、旅行ガイドを始め観光業に従事する唎酒師も増えています。

 

日本酒イベントで活躍する唎酒師

日本酒を主題としたイベントが全国各地で頻繁に行われるようになりました。特に女性層、若年層から人気が高く、これまでにない斬新なコンセプトのイベントが評判を呼んでいます。当会でも、投票型試飲会「アナタが選ぶ地酒大 show」、スタイリッシュかつモダンに日本酒を楽しむ「STYLE J. SAKE」、料理との相性を通じた日本酒普及を目指す「酒友グランプリ」など新たな形のイベントを開催してきましたが、このような日本酒イベントを企画したり、運営したり、実際に接客にあたる唎酒師も増えています。
さらに、これらをうけ、グルメ雑誌や、各種トレンドを紹介する雑誌、新聞、テレビなどでも日本酒と唎酒師を取り上げる機会が増えています。